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買い物を続けるこんにちは、ペット栄養管理士のmickyです。
イヌとネコのご飯について、
「イヌは肉食動物だから、ほぼお肉で大丈夫?」
「ネコにも食物繊維とか、お米とかも必要だよね?」
と、尋ねられることがあります。さて、それはどうでしょうか?
実はそれらは、正しくもあるしちょっと違っています。
「イヌは雑食・ネコは肉食」と考えてご飯をあげる必要があります。
その理由をまずは私たちとの暮らしの歴史や体のつくりなどからみていきましょう。
イヌが私たちと暮らし始めたのは32,000年前くらいからといわれています。
彼らはヒトとの共同生活に順応していき、最高のパートナーとして、また様々な仕事もこなしてくれました。
狩猟・愛玩・競技・使役など、役割に合わせてつくられた品種は現在1,000を超えます。
長い時間をヒトと一緒に暮らし、ヒトと食べ物も分けてきたことで、肉だけでなく穀物なども食べられるようになりました。
一方、ネコと私たちの暮らしは7,000年くらい前からといわれています。
現在のネコの品種は50種ほどで、ネコの体格や見た目もイヌほどの大きな違いはありません。
それらのことから私たちとネコとの暮らしがまだ短いということが分かります。
ネコは穀類を荒らしたり、伝染病をひろめるネズミを捕まえてくれます。ヒトが農耕生活を始めると、ネズミを捕まえてくれるネコはとても大切な存在になりました。
私たちと暮らしてきた歴史が短く、ネズミを捕まえるという仕事のおかげで食べ物の変化がなかったために、ネコはイヌのように雑食化しませんでした。
草食動物は腸が長く、盲腸が発達していることは有名ですね。
消化しにくい食べ物を時間をかけて消化するために腸は長くなり、発達した盲腸には植物由来のセルロースを分解できる腸内細菌が住んでいます。
まず盲腸について、ネコの盲腸は未発達で退化しているといえるほどの大きさや形です。 一方、イヌの盲腸はネコと比べると、重さや密度も機能するために十分なことが分かっています。
さて次に、腸の長さを図にまとめました。
動物たちの大きさが違うので、腸の長さが体長の何倍になるかという比で比較しています。
草食動物のヒツジやウシと比べるとイヌもネコも腸は短めです。
が、イヌとネコで比較するとイヌの方がネコより1.5倍腸が長いことがわかります。
イヌの腸はネコより少し長く、繊維を分解する腸内細菌が住む盲腸も十分に発達している。 これらのことから、ネコと比べるとイヌの方が消化しにくい食べ物を栄養にできることがわかります。
ちょっと待って!雑食の私たちヒトの腸もイヌやネコと同じくらいじゃない?!
と、気がついた方、そうなのです。
「雑食 or 肉食」
これをさらに区別するためには、 食べ物を分解し、体内で栄養を合成するための仕組みを考える必要があります。 ヒト・イヌ・ネコではそこに大きな違いがあります。
次回のコラムではその仕組みについてお話ししますね。
余談ですが、マウスの研究で盲腸が腸内細菌のバランスに関わっていること、 盲腸にあるリンパ組織で免疫細胞が作られているということがわかりました[1]
ヒトの盲腸は退化して不要といわれていましたが、マウスと同じように何らかの働きを持っているのかもしれません。
そしてもしかするとネコの盲腸にも何か役割があるかもしれませんね。
まだまだ生物の体には謎がいっぱいです。
イヌにお肉ばかりはバランスが悪そう、ネコに野菜たっぷりは良くないかも、 ということをなんとなく分かっていただけたなら嬉しいです。
では、また次回のコラムでお会いしましょう〜。
参考文献
[1]. Masahata K, et al:Generation of colonic IgA-secreting cells in the caecal patch. Nat Commun, 5:3704, 2014